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粉飾決済で損害を受けた(熊本日日新聞 2016年4月20日付)

2016.04.20
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 Q 55歳の会社員です。私は個人で株の取引をしており、ある上場会社A社の株を持っていたのですが、粉飾決算をしていたことが公表され、それ以降、株価が暴落して、10万円程度の損害が出ています。その会社に対して、損害賠償を請求できないでしょうか。

 A 大手上場会社が粉飾決算をしたというニュースを聞いたことがあると思います。上場会社が粉飾決算をしたということは、株式市場の信用を失墜するものですから、関与した会社幹部は厳しい批判を受けるべきですし、その会社の社会的責任は重大です。
 そして法的には、株主は会社に対して、粉飾決算による株価の下落分を賠償請求することができます。粉飾決算という重大な違法行為があった場合には、株価が暴落するのは当然です。A社は自社が行った粉飾決算により、株主に対して、自社株の暴落という損害を与えています。ですからA社の株主は、A社に対して、粉飾決算により下落した株価分の損害の賠償を請求できるのです。
 これは、民法上の不法行為(709条)の性質をもった請求です。ただし、金融商品取引法という特別な法律によって、粉飾決算があった場合には、株主が損害賠償請求をしやすいように優遇されています。
 粉飾決算のように全国に被害者が存在するような問題は、全国規模の弁護団が結成されていることが多いと思います。それぞれの弁護団に問い合わせてください。
                           弁護士 田中裕司