交通事故の加害者が治療費払わない(熊本日日新聞 2013年5月25日付)
2013.05.25
交通事故 交通事故
Q 交通事故に遭い、長い間の入院と通院を強いられました。やっと治療が終わったので示談をしようとしましたが、加害者は私に過失があるなどと言って全く誠意が見られず、治療費も払ってくれません。どうしたらよいでしょうか。
A 加害者に誠意がないため、被害者が何の支払いも受けられないのでは、自賠責保険が目指した被害者保護は図れません。そこで自賠責保険は、被害者が加害者の加入する自賠責保険会社に損害賠償額を直接請求できる権利を認めています。これが被害者請求です。
被害者請求は、加害者が加入する自賠責保険会社の請求用紙に必要事項を記入し、必要な書類を添えて行います。ただ、被害者請求は原則として事故発生日から3年で時効にかかり、請求できなくなるのでご注意下さい。
ところで、加害者が不払いの理由に相談者の過失を挙げている点はどうでしょうか。自賠責保険では、被害者保護のため、被害者の過失の度合いがかなり高くない限り(7割以上)保険金は減額されません。具体的な事案次第ですが、相談者に少々の過失があるとしても、被害者請求をした方が、より多額の保険金の支払いを受けられ有利なこともあり得ます。
被害者請求による支払いの限度額は死亡の場合は3000万円、傷害で120万円など、事案によって変わってきます。詳しくは弁護士に相談してください。
弁護士 石部 雄一