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被災起因の整理解雇(熊本日日新聞 2016年7月26日付)

2016.07.26
震災関連 震災関連

 Q 熊本地震により事業所の建物や設備が壊れ、取引も減少し、会社の業績が悪化しました。この場合、会社は従業員を解雇することができるでしょうか。

 A 地震に起因するからといって、無条件に解雇が有効となるわけではありません。
 地震の影響で会社の経営状態が悪化した場合、どのような方策で会社を守るかは経営判断です。会社の継続を前提として、経営判断で人員削減のために行う解雇のことを「整理解雇」といいます。
 整理解雇には(1)人員削減の必要性(2)人員削減の手段として整理解雇を行う必要性(3)解雇対象となる従業員の選定基準の合理性(4)解雇手続きの妥当性-の4要件が必要です。
 事業所が全壊するなどして、事業の大部分が継続困難となった場合には、要件(1)と(2)を満たす可能性が高いでしょう。一方、事業所の建物や設備の損壊は一部で、事業全体の継続は可能だが、単に取引先が減ったという程度では、要件(1)を満たすとは言えず、整理解雇が有効とされる可能性は低いでしょう。
 要件(3)については、勤務成績、勤続年数、従業員の扶養家族の有無などを考慮し、合理的な基準で対象者を選ぶ必要があります。要件(4)では、経緯や会社の状況などについて従業員への丁寧な説明が求められます。
 以上、地震による会社の被災状況や事業内容などを具体的に判断し、4要件を満たすかどうかを慎重に判断することが必要です。
                           弁護士 平島有希