時間外労働(熊本日日新聞 2016年8月16日付)
2016.08.16
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Q 地震以来、深夜までの残業を繰り返しています。ずっと休日がありません。最近は疲れがたまってきたのか、体調が良くありません。このままだと心身の健康が心配です。
A すぐに会社に言って休みをとってください。労働者の健康を守るのは会社の義務ですが、会社が配慮をしてくれないのなら、自分で守りましょう。
雇用契約上、あなたの義務は基本的に所定の労働時間の間、会社の指揮監督の下で労務を提供する、というものです。会社が残業を命じるには、雇用契約か就業規則の根拠が必要です。
1日8時間または週40時間を超える労働や週6日を超える労働を命じるには、労使協定(三六協定)で定めるか、災害時に緊急の必要があるとして労働基準監督署の許可などを得なければなりません。
あなたの会社に就業規則や三六協定はありますか? もし三六協定に時間外労働の上限が書いてあれば、それを超えて残業をする必要はありません。そのことで起きる不利益は会社が負担すればいいのです。
仕事に使命感があるのは立派なことです。ただ、あなたは会社員ですから、会社の利益のために会社との雇用契約に基づき、仕事をしているのです。時間外労働を認める就業規則や三六協定が存在して初めて、残業は雇用契約の内容になります。もし雇用契約にない仕事を命じるような会社だったら、そんな会社のために頑張る意義があるでしょうか。
弁護士 村上雅人